岩工房開発物語
聞いてびっくりする様なタイトルが付けられましたので、恐る々発案から施工までの経緯を思い出しながら書いてみたいと思います。
はじまり・・・
今回施工を行った一級河川山国川は、大分県と福岡県の県境を流れ、その中流域より上流は「耶馬・日田・英彦山国定公園」、又「名勝耶馬渓」の指定を受けており、河川沿いに見られる奇岩群は、「名勝耶馬渓」の代表的な一景であり独特な景観をかもし出しています。
工事は根継ぎコンクリートを打設した上部にコンクリートブロック積護岸が計画されていましたが、国土交通省から「周辺景観と”調和”した従来にない“安い”工法で施工してほしい」と言うご注文を頂き、ついその場の雰囲気で“やってみましょう”と大見得を切ってしまいました。
現地の奇岩をヒントにオリジナルの「現場打ち擬岩コンクリート工法」を試みることになってしまったのです。
帰りの車中では、同僚とふたり会話もなく、親に叱られた子供のような感じで帰社したものでした。
やってはみたが・・・
悔やんでいても仕方がないので、とにかくやってみることにしました。
コンクリートJIS工場の試験室をかりて小学生の粘土細工の真似事のような感じで造って見ましたが・・・
見たくない・見せたくない・余って捨てられたコンクリート・お先真っ暗
とても仕事としてお金を貰える様な代物ではありませんでした。
何か岩の形をつくれる型枠になる物は、と考えながら、近くのホームセンターをうろつきまわって行き当たったのが、編み目の違う金網を二重にして岩の形状を模作してみるというやり方でした。
コンクリートJIS工場の試験室をかりて小学生の粘土細工の真似事のような感じで造って見ましたが・・・
見たくない・見せたくない・余って捨てられたコンクリート・お先真っ暗
とても仕事としてお金を貰える様な代物ではありませんでした。
何か岩の形をつくれる型枠になる物は、と考えながら、近くのホームセンターをうろつきまわって行き当たったのが、編み目の違う金網を二重にして岩の形状を模作してみるというやり方でした。
練り返すうちに・・・
まず岩をよく観察せねばと思い、山国川から、ごく小さな岩を頂き、試験室にもって帰り、質感や色合いを間近に見ながら、試験練りをすることにしました。
データという物はありませんから、1バッチ毎の配合計算を行い、骨材や水の測定は、電子計量器により百分の1gまで測定し、骨材の表面水やセメントと、岩の色合いを出す着色剤(無機顔料)の重量比などを、詳細にわたり記録しました。
試験練りは、20回に及び、テストピースは60本近く製作しました。
データという物はありませんから、1バッチ毎の配合計算を行い、骨材や水の測定は、電子計量器により百分の1gまで測定し、骨材の表面水やセメントと、岩の色合いを出す着色剤(無機顔料)の重量比などを、詳細にわたり記録しました。
試験練りは、20回に及び、テストピースは60本近く製作しました。
着色剤の配合が決まると、次に網を使って数通りの擬岩のサンプルを造りました。
擬岩のサンプルは、最初に製作したものと比較して、同一人物が造ったのだろうか、と思わせるぐらいの出来上がり具合になりました。
ぶっつけ本番・・・
この試みが決まってから、試験練り及び擬岩サンプル製作まで2週間、工期も残すところ2ヶ月余りとなり、100㎡近くの擬岩コンクリートを造るのに約25日間はかかります。
仮設物の撤去や雨天、休日等を考慮すると工期に間に合わないかもしれません。
幾多の問題点はありましたが、時間もなく現場施工をしながら解決していくことにしました。
- 基本造形網と仕上げ造形網との結束方法
- コンクリートの打設高さや仕上げ造形網の撤去時期
- コンクリートの打ち継ぎ、目地等
工夫しなければならない点は山積みでしたが、施工に携わった全員の熱意と、工事関係者のご理解と、ご指導により、一つ一つ解決していきました。
いつの間にか、その日の作業が終わると誰が言う訳でもなく、『岩工房』の前にみんな集まってきて、今日の仕上がり具合を見るのが日課のようになっていました。
終わってみて・・・
作業中こんなことがありました。造って10日程度で水苔が付いていました。又、上部の岩がオーバーハングした所にアシナガ蜂が巣をかけていました。
自在に形を変えられることを利用して、土砂の堆積や河川の水位変動を考慮して魚巣や窪地を造った結果、今では土砂の堆積や植生がみられるようになりました。
擬岩の上で魚釣りをしている人も見受けられます。
苔もかなり付いているのでコンクリートとは思っていないみたいです。
擬岩の上で魚釣りをしている人も見受けられます。
苔もかなり付いているのでコンクリートとは思っていないみたいです。
それから・・・
工事が無事に完了して「ほっと」していたところでしたが、それからが大変でした。
国土交通省新技術情報提供システム “NETIS” の登録から始まって、特許申請から、パンフレットの作成、各官庁への営業と、結構忙しかったです。
秋は “岩工房” を引っさげて、「物づくり総合展九州」、「中小企業テクノフェアー」 など3回の出展と4回のプレゼンテーションを行い、認知と営業に汗たらたらでがんばりました。
出展にあたって展示した『岩工房』のサンプルが好評で、譲ってくれないかという人もおり、自信をつけさせて頂いたような次第です。
本当にありがとうございました。
国土交通省新技術情報提供システム “NETIS” の登録から始まって、特許申請から、パンフレットの作成、各官庁への営業と、結構忙しかったです。
秋は “岩工房” を引っさげて、「物づくり総合展九州」、「中小企業テクノフェアー」 など3回の出展と4回のプレゼンテーションを行い、認知と営業に汗たらたらでがんばりました。
出展にあたって展示した『岩工房』のサンプルが好評で、譲ってくれないかという人もおり、自信をつけさせて頂いたような次第です。
本当にありがとうございました。
『岩工房』出店風景
最後に・・・
さて施工された擬岩『岩工房』は、3年の年月を経過しました。
その間、幾度となく洪水を経験し、施工時と変わらぬ堅固な姿で、昔からそこにいすわっていた様な顔をしてたたずんでおります。
今後も営業、認知、出展、プレゼンとがんばって参りますので『岩工房』ともどもよろしくお願い致します。
その間、幾度となく洪水を経験し、施工時と変わらぬ堅固な姿で、昔からそこにいすわっていた様な顔をしてたたずんでおります。
今後も営業、認知、出展、プレゼンとがんばって参りますので『岩工房』ともどもよろしくお願い致します。
岩工房の用途・施工イメージ
岩工房の用途、施工例を画像でご案内します。